ビジョンの大切さ
企業存続するための目的=ビジョン。
しっかりと練られたビジョンは、すべきことが明確で社会的意義も大きいので、人も集まるし一体感を醸成しやすいのに対して、あいまいなビジョンで事業を始めると短期的な視点に陥りがちなため、環境の変化であっという間に苦境に立たされてしまいます。中小企業クラスでビジョンをしっかり作り込んでいる企業はかなり少ない感覚があります。
ではしっかりしたビジョンが出来さえすれば、それで安泰かというとそれだけでは不十分です。関係者が小数であれば、一人一人がビジョンの意味を理解できているので、経営方針に対してズレが少ない行動ができます。しかし人が増えれば様々な価値観を持った関係者も一定数所属するので、発した言葉に対して、複数のイメージが発生し、事業サービスとしてのクオリティにバラツキが発生しまいます。
そのため、事業が大きくなればなるほど、ビジョンに対する詳細理解に時間を費やすことが大切になってきますし、それがサービスクオリティの維持つまりブランド力を保つことになってきます。人心の企業に対する求心力、サービス拡大に繋がる遠心力の中心にはしっかりしたビジョンが必要になります。
長期的視点にたてば、事業規模の拡大も意識して、シンプルかつ誰もが分かり易いビジョンをしっかり作ることが大切ですね。
人事評価制度
今日は少し真面目な話で。
企業内で働いている社員の貢献に応じて評価を行い、報酬を決める人事評価制度構築については足掛け8年携わり、そして自分自身が社員の立場では10年以上評価されてきました。しかし、評価する側、される側にて個人的に納得できるものはできませんでした。
現在の自分なりの結論は、制度をいくら緻密に設計しても事前のコミュニケーションによる信頼関係が出来ていなければ機能しないです。(設計者としては悲しいのですが(涙))
明確な報酬定義ができないので評価制度を作りたいという気持ちは十分に理解できるのですが、最初は割とばくっと作っておいて、定期的な行動進捗を社員と一緒にチェックしながら、行動の支援をしたり一緒に考えてみたりという時間の共有の濃さが評価制度を機能させるかどうかのポイントになると思います。
「仏作って魂入れず」とは言いますが、ヒトにかかわる部分はより魂を込めて上司やマネジメント層、人事が関わっていかないとせっかくの制度が台無しになり、評価者/被評価者の間の溝を広げてしまいます。
評価制度はコミュニケーション運営と合わせ技の設計を考えていきたいものです。
困難は信念を試す
この言葉、登録している名言メルマガから引用しました。
手帳にいつも書き留めている言葉です。
初めて見た瞬間に私の心にグサッと刺さりました。
自分の過去を顧みた時に、何度、「困難」という敵に敗れ去り、自己肯定感を下げてきたことか。と同時に信念をきちんと見つけられていなかったと自覚できたからです。
それ以来、「信念」は私の場合、目的や夢(=達成したい事)に置き換えて考えています。それに到達するまでのプロセスで挫折するようであれば、自分にとってはその程度の目的や夢なんだと思うことにしています。
現代は情報量が多いため、選択肢が増えすぎて目的や夢を見つけるのが難しい側面もあります。受け身でも情報が大量に入るため、自分の直観を磨く時間が昔より圧倒的に少なくなっているからでしょうか。じゃあ、どうすればいいのか、私が思うに外部情報に触れる時間を強制的に減らし、内省する時間を増やすことです。(私もとてつもない時間をかけ、人生の目的を見つけました。しかも今後も変わるかもしれません。)
内省を自分一人ではできないということであれば、人の力を借りてもOKだと思います。友人や信頼できる人に手伝ってもらう。プロであればコーチングができる方でも良いでしょう。
その目的や夢に自分の人生を賭ける ー こう思える環境が作れたら最強ですし、きっと困難に負けることは絶対にないと思えるのです。そんなことを強く思わせてくれる言葉です。
彼も一時なり、これも一時なり
このブログタイトル(至誠通天:至誠天に通ず - 至誠通天)もこの孟子の言葉をベースにしています。
今回のタイトルについて直訳すると
「あの時はあの時、今は今」ですが、もう少し言うと
「時勢は常に変化するが、世の中の道理は不変である」という意味になります。
私たちが生きているこの時代は情報化社会で、一見変化にあふれている時代のように見えます。一方、世の中(=社会)というのは人間の意思から生まれているものです。利便性という点では常に進歩がありますが、それによって人間の能力や潜在的な考え方が変わることはありません。喜怒哀楽の感情が進化して変容するなんてないですからね。
だから、私たちが歴史上の先人から学ぶことはとても意味があることだと思います。
組織を構成する人についても昔から根本の性質は変ってはいないけれど、人は経験から物の見方を形成する生き物ですので、環境変化を加味した本人の経験により価値観が時代時代によって偏ってくるのだと思います。
私たちは、もっともっと「人」というものについて、「~世代」という言い方をして考え方が理解できないとくくるのではなく、普遍的な部分を理解する努力が必要で、それを知ることがどの企業も悩んでいる組織の力を強くするコミュニケーション力UPにつながっていくといえますね。
褒める
日本人は空気を読む感覚が優れている人種と言われますね。
文脈を読んで気配りができる。「おもてなし」はその典型で、いちいち言わなくても相手の気持ちを汲んで先回りをした行動が相手に感動を伝えます。
最近はやりの「忖度」という言葉も相手の気持ちを慮る意味ですが、行き過ぎて悪い意味として使われています。
そんな文化ですので、日本人は自分の思いを上手に表現できる人が少なく、また相手に対するリアクションが少ない傾向があります。仮説ではありますが、現代は更に情報が溢れすぎている状況も相まって、ひとつひとつの物事に対する感度が薄くなってきているのではと思います。
その結果のひとつとして一人一人の孤独感が強くなります。そして人に貢献できるという場面が減るため、自分自身を様々な意味で肯定できる実感をもてない人が増えているのでは思います。自己肯定感というやつです。これが低いと自分自身を否定する時間が増え、自分自身に対して無力感を感じたり、マイナス面に意識が行きやすい傾向が強くなります。
では自己肯定感をあげるにはどうすればいいか?・・・ずばり「褒める」です。
まずは自分自身を褒める。肯定感が低いときは何事も足らないことに対して意識が集中している時間が多くなっています。その時間を減らすためにはプラスを考えること、充足できていることに意識を向ける必要があります。
ちょっとしたことでいいんです。
「世界にたった一人しかいない自分が存在していることで素晴らしい。」
「TVドラマをみて泣いたり、笑ったりする感性をもっている自分は素晴らしい」
「趣味に没頭すると時間を忘れてしまう自分は素晴らしい」
実際にこう考えられる意識を持っているだけでも本当に素晴らしい事だと思います。
そして余裕があるならば、自分の近くの人に対してちょっと褒めポイントを見つけて口に出して褒めてあげてください。それだけで相手の自己肯定感はあがります。
そして、そんなポイントを見つけて相手に伝えられるあなたはもっと素晴らしい。という素敵なおまけもついてきます。相手にしてあげたつもりが自分に返ってくる。
シンプルですが「褒める」パワーは素晴らしいですね。
俯瞰目線
2年ほど前にスクールでコーチングを学びましたが、その中で俯瞰目線の大切さを知りました。
クライアントの悩みの大半は突き詰めると人に関することです。対人関係もありますが、それが自分自身の中にある二つの意見の対立ということもあります。多くは自分の中に培われたモノの見方にそぐわない事態が目の前で起こることで、そのギャップに感情が揺さぶられるというものです。
そんな時には、一度自分の感情や見方を第三者の視点から分析をします。人間は不思議なもので当事者間では自分の感情を抑えにくいのですが、引いた位置からだと冷静かつ建設的な見方ができるからです。
日常でも負の感情が発生した際には、今起こっている自分の感情をきちんと受け止めつつ、一歩引いた地点からその状況を俯瞰する習慣がつくと自分の思いこみや決めつけがその事象を起こしていると気づくことができます。
究極はひとつの事象に対して多面的な見方があることを理解し、受け入れることが、日々を生きやすくしていくということですね。
アンダーマイニング効果
前職では人事を8年経験しましたが、人事評価制度の策定は最も苦労しました。
従業員の仕事に対する評価に見合った給与レンジを考え、適正な報酬を従業員に還元できるような制度を設計するのですが、人が評価するものなので絶対的な正解はなく、会社の方針が変われば評価ポイントも変わるため、都度改定が必要になります。
そのため、メンテナンスが頻繁に発生しないよう少し抽象度を上げた表現である必要があります。
私の理想とする組織は、理念に対する強いコミットがあり、その実現のためにメンバーがモチベーション高く、業務に取り組む形です。(経営に近い人であればこう考える人は多いのではないでしょうか?)
しかし実際、人が業務に取り組む動機はそれぞれ。
特に理念より報酬に重きをおくタイプは、報酬に結びつかない業務は行いたくないという見方が強いため、時として「それは自分の仕事ではない」と線引きをしてしまうケースが起こります。報酬重視タイプを否定するわけではないですが、ベクトルが自分に向いているタイプが多い印象があります。
安易にこのタイプを動かすため、報酬と業務をすべて紐づける設計をすると上記の傾向が強くなり、結果として組織全体の連携や一体感が削がれていきます。これは「アンダーマイニング効果」と呼ばれます。
人事評価などのハード面を整えることは大事ですが、それ以上に何のために業務があるのか、我々はなぜこの事業に取り組むのか、根本にある考えを常日頃から従業員と確認し合うことは、もっと長期的目線で目の前の仕事を考えてもらう上でより大切だと思います。